COOPERATIVE COMPANY

株式会社ソトー

 

ものづくりの原点は、キャッチボール。

「ここまで一緒に作り込めたのは久しい」。

そう嬉しそうに語るのは、「wjkw」のコレクションに使われている生地を手がけた「株式会社ソトー」の開発チームだ。

創業95年。日本最大の毛織物産地である、愛知県の一宮市に位置する歴史ある会社。

“木曽三川”の恩恵を受けた良質な水資源に恵まれた土地で、天然繊維であるウールやコットンなどの生地の染色や加工に勤しみ、そこで作られたクオリティの高い生地は、名だたるコレクションブランドや数多くのドメスティックブランドに使用されている。

そんな由緒ある会社が、「wjkw」ブランドのバックアップに名乗りを上げた。

「ソトー」の心を突き動かしたのは、デザイナーである白木のものづくりに対する熱量だった。

 

生地は、平面で見るのではなく立体で見るもの。

「wjkw」のデザイナー・白木が初めて工場を訪れた際、「ソトー」チームは、彼の生地の扱い方を見て感心したという。

「最初にいらっしゃった時に驚いたのが、『ボディを貸してください』と言われたこと。我々は生地をテーブルに広げて、平面で見ることが多いのですが、彼は違いました。実際の洋服として仕上がった時に、どう見えるかということを考えながら生地を選定していたんです。一つ一つの生地をボディにかけて、シルエットや光沢感、生地が曲がった時のドレープの出方にまでこだわられていました」

そんな姿勢から、ものづくりへの熱い想いがひしひしと感じたのだとか。

「白木さんは、自分たちが作ろうとしている洋服のビジョンやイメージをはっきりと持っています。たとえば、コレクションにも使われている、“着心地はジャージながら見た目は織物に近い上品な生地”ですとか、デザインだけではなく生地の質感にまでとことんこだわられていました。そんな方たちに工場へ足を運んで頂き、会話をしながらものづくりを進めていけるというのは我々にとっても新鮮でした」

15〜20年ほど前には、ものづくりの産地へ通う熱量のあるデザイナーも多かったが、昨今では海外の工場へ丸投げをして作り上げられる製品も増えてきているという。

「最近では工場に来られるデザイナーさんも多少増えましたが、どちらかと言えば『もう一度、ものづくりの現場を見たい』という目的で工場見学に来られる方が多いですね。実際に我々とコミュニケーションを取って、同じ方向に向かってものづくりをしていく方というのは珍しいです。白木さんは、数え切れないくらい工場へ来られていましたからね」

 

コミュニケーションが新しいものを生み出す。

「ソトー」には、長年蓄積された生地加工のノウハウがある。だからこそ、デザイナーのあらゆるニーズに応えることができる。ところが、実際にはそこまで明確なイメージや希望を伝えてくるブランドも少ないのだそう。

「我々もさまざまなブランドさんとの付き合いがありますが、実際にデザイナーさんが求めている理想像みたいなものが、我々のところにまで伝わって来ないことの方が多いです。硬い方が好みだとか、柔らかい方が好みだとか、あるいは色にしても同じ黒でも赤みがかった方が良いとか、リクエストさえ頂ければ、繊細な加工にも対応できるのですが。こういった要望は、ちゃんとコミュニケーションを取れば実現できるのですが、そこまで深く会話をすることは少ないですね」

ビジネス目線で考えれば、デザイナーが生地の産地へ足を運ぶのは労力とコストがかかる。そんな理由で、郵送で生地サンプルが送り、「この生地にして欲しい」という要望を伝えるだけでやりとりが終わることの方も多いという。

「『もう少しこうして欲しい』という会話なしで作ると、時には意図しているものとまったく違うものになることもあります。我々としても、デザイナーさんの意向や好みを会話を重ねるごとに理解することができますし、逆に先方も我々の加工の特徴や癖みたいなものを知ることができる。そうすると次第に、距離が離れてボールを投げても、キャッチできる関係性に育っていくんです」

工場がダイレクトにデザイナーの意向を聞くことで、より理想像に近い生地を仕上げることができる。なにより、お互いの関係性を構築することでコミュニケーションの質が高まる。

「逆に会話をすることで、非常に高いハードルを与えられることもあります。ダイレクトに意向を聞いた分、それに対して応えなければいけないという義務がありますからね。でも、その分仕上がった時の達成感はひとしおですし、数量の大小は別として、ものづくりを一緒にできるというのは我々にとっても誇りなんです」

 

目指すは世界的に認められるブランド。

「wjkw」の製品は、工場との密なコミュニケーションによって、より一層クオリティの高いものに仕上がっている。では、そもそも日本の生地工場が持つ一番の強みとはなんだろうか。

「我々の武器は、リクエストにきめ細やかに答えられること。たとえば、ファストファッションのブランドさんであれば同じクオリティの生地をたくさん作り続けることを求められますが、『wjkw』さんのように感性の鋭いブランドさんですと、我々もデザイナーさんが描く理想の生地に仕上げるため、照準を合わせて、繊細に加工していかなければいけません。感性が強ければ強いほど、捉え方によってさまざまな解釈ができるので、会話のキャッチボールが大事なんです」

また、「ソトー」で扱う生地は天然繊維が主。扱いの難しい天然繊維だからこそ、生真面目な日本人気質に由来する高い品質基準を守り続けるというのも、海外の工場にはできない仕事だという。

「ウールを例に挙げても、羊の毛には個体差があるわけですし、コットンも採れる場所や種類によって質が異なります。それを一つの品番として扱うのはとても難しいことです。とくに日本の場合は、品質基準のラインが高いので、天然繊維の加工はもちろん、管理をするのにも技術が必要になります。だからこそ、“MADE IN JAPAN”の生地として信用に繋がっているのですが」

高い職人技術と日本人らしい繊細な感覚によって、MADE IN JAPANクロリティの生地は生み出されている。そういったものづくりへのこだわりや情熱があるからこそ、「wjkw」の製品に懸ける想いも強い。

「MADE IN JAPANの製品が、どんどん世界で認められているのにも関わらず、世界的なファッションブランドというのはそこまで多くない。だからこそ、日本のファッションブランドが世界へ出て行くチャンスというのはまだまだあるはず。『wjkw』さんには、ぜひそんなブランドを目指して欲しいですし、我々も彼らの描く理想像を実現させるため、妥協のない生地作りを続けていきたいと思っています」